一体どれくらいの間キッスをしていたのでしょう。唇を吸い合うのに疲れると舌を絡め合い、そしてまた唇を吸い合い、疲れるとまた僕達は舌を絡め合いました。きっと何時間でもこうしていられるような気がしました。ある約束を思い出すまでは。
今朝は4年生の学生の指導をすることになっていたのです。僕はゆっくりと唇を離すと、「今何時?」と聞きました。
「9時半だけど?」
「まずい。10時にジョンと会うことになってるんだ」
「マイク、シャワーを使って。バスタオルは掛けてあるわ」
「ありがとう、ローラ」
僕は慌ててベッドから出るとバスルームに飛び込みました。バスタブの棚にボディーシャンプーとヘアーシャンプー、それにリンスのボトルが目に飛び込みます。それに長い紐の付いたスポンジも。
ローラはいつもこのスポンジで身体を洗ってるんだ。
僕はドキドキしながらスポンジを手にするとお湯で濡らしてからボディー シャンプーをとろりと垂らし、急いで身体を洗います。そして頭にもお湯をかけてヘア・シャンプーで泡立てます。頭と身体の泡を流し終わりバスタブから出て化粧台の前で身体を拭いていると、ピンクのショートパンツとタンクトップ姿のローラが入ってきました。
「私のだけど着てくれる?」
ローラが拡げて見せたのは、真っ白のTシャツとPrincetonと書いたグレーのトレーナ、それに黒のTバックです。
「ああ、ありがとう。助かるよ」
確かにサイズはそんなに違いません。でもローラの下着を身に付けるなんて。
ローラのTバックを目にした途端、さっき射精したばかりだと言うのにペニスが固くなり始めました。
「あなたのは後で洗濯しておくわね」
「ありがとう、ローラ」
僕はレースの飾りのついたTバックに足を通しますが、ペニスが勃起してしまってなかなかうまく入りません。
「そんなに大きくしちゃうと入らないわよ」
「ローラ、悪いけど向こうへ行ってて。君に見つめられるととても収められそうに無いよ」
「ああ、御免なさい、マイク」
ローラの姿が消え、何度か深呼吸をすると少し勃起は収まり、何とかペニスも睾丸も収まってくれましたが、男性用Tバックのように膨らみがないので、少しでも勃起すると隙間が開きそうです。 でもジーンズを穿けば分からないでしょう。
Tシャツにもローラの匂いが少し残っているような気がして、それを素肌に着るだけで僕はローラに抱かれているような気分になりました。
「Princetonのトレーナーはちょっとまずいんじゃない?ローラのものだってばれちゃうよ」
僕はトレーナを手にもったまま寝室に戻ります。
「ばれたらイヤ?」
ベッドに腰を掛けていた ローラに見つめられるとイヤとは言えません。
「嫌じゃないよ、ローラに貰ったって言うよ」
僕はトレーナーを頭からかぶりました。
「ローラは昼頃に来ればいいよ。じゃあ、後で」
僕がそう言って出かけようとすると、ローラが僕を抱きしめ唇を重ねてきました。
長い長いキッスを終えて唇を離すと、「マイク、愛してるわ」とローラが囁きます。
そして僕も「愛してるよ、ローラ」と言ってドアを開き外へ出ました。
* * * * * *
ラボに駆け込むとジョンが僕のオフィスの前に立っています。
「御免、御免。昨日徹夜でね」
「ああ、それは知りませんでした。昼からでも良かったのに」
「いや、昼は昼で別の約束があったから。さあ、こっちへ来て」
僕はローラの椅子をジョンに勧めます。
ジョンが僕のトレーナーをチラチラ見ています。アメリカの大学はどこも大学名の入ったTシャツやトレーナーがあって、学生達は愛校心というのでしょうか、結構好んで自分の大学名の入ったものを着るのです。ここUCLAではもちろんUCLAと書いたシャツやトレーナーは良く見かけますが、他校のを着てると目立つのです。特に東の名門校プリンストンのトレーナーなんか着てると余計に。
ラボの連中はローラがプリンストンから来たことは知ってるし、ローラもしばしばそのTシャツやトレーナーを着ています。
「ああ、これ?ローラに貰ったんだ」
「いいですね。実は僕は大学院ではプリンストンへ行きたいと思ってるんです」
「そうなのか。じゃあ、ローラに色々と聞けばいいよ」
ジョンとの打ち合わせは無事に終わりましたが、少しでも腰を動かすたびにいつもと違うTバック、それもローラのTバックを穿いていることを意識してしまい、ペニスを固くさせてしまいました。
さてお昼はどうしようかと思っているとローラから携帯に電話が掛かってきました。
「マイク、お昼はどうするの?」
「今どうしようかと思ってたところだよ」
「一緒に食べない?」
「ああ、もちろん」
「あそこに行かない?」
「あそこって?」
「一番最初にマイクが連れて行ってくれたところ」
「一番最初って、ローラが来た日にかい?」
「そう」
最初の日にローラをランチに誘ったことを覚えてくれていたのです。
「Tっていうイタリアン」
「そうよ」
「もう出られる?」
「あと10分位で出られるわ」
「じゃあ、12時半に予約しておくよ」
「じゃあ、お願いね」
「じゃあ、12時半にTで」
「じゃあ、後でね。愛してるわ、マイク」
「僕も愛してるよ、ローラ」
電話を切ってから周りの誰かに聞かれなかったかとキョロキョロ見渡しましたが、誰も気にしている人はいないようでした。
直ぐにTに予約を入れ、Eメールの返事を幾つか書いてから僕もTに向かいました。
* * * * * *
受付で名前を言うとローラはもう来ているようです。店の人があちらですと指差すと、その先に輝くような笑顔がこちらを向いて手を振っています。 僕も軽く手を上げて、これ以上の幸せは無いと言う顔をしてテーブルへと向かいます。
僕がテーブルに近づくとローラは立ち上がりました。身体にフィットした水色のシャツを押し上げている形の良い胸の上で金色のUCLAのロゴが光っています。そしてボトムは純白のタイトジーンズ。
いつもブルー・ジーンズしか穿かなかったのに、純白のジーンズは長身のローラにとてもよく似合います。
「とても良く似合うよ」
僕達は軽く抱き合って頬を合わせました。
「さっきはありがとう、マイク。愛してるわ」
「僕もだよ、ローラ」
軽くキッスをしてから、角を挟んでローラの右隣に座ります。
「少しは眠った?」
「いいえ。あれから洗濯をしてきたのよ」
「ありがとう」
「何だか今日は一段と綺麗だよ、ローラ」
「あら、そう?きっとマイクのお陰よ」
ウエイトレスがやって来たのでローラはレモネード、僕はアーノルド・パーマーを頼み、そしてサラダとピザを二人でシェアすることにしました。
「この店を覚えていてくれたんだね」
「もちろんよ。だって初めてマイクがデートに誘ってくれた店だもの」
デートだって思ってくれてたんだ。
「ありがと・・・」
思わず涙が溢れてきて僕は最後までありがとうが言えませんでした。
「実はね、UCLAに決めたのはマイクがいたからなの。もちろんその時は好きとかそういうことじゃなくって、信頼できる人だなって思ったの」
「でもあの時は僕はほとんど話さなかったし」
「私っておしゃべりな人は嫌いなの。話さなくてもマイクなら私をちゃんと導いてくれそうだなって思ったの。だからあなたの論文を調べて、そして教授のジムにはこんな研究をしてみたいって言ったのよ」
「僕もローラが来ないかなってずっと思ってたんだよ。だから夏の終わりにジムに言われた時はビックリしたし、天にも昇る気持ちだった。そして本当に君が現れて、僕は君の世話をするのが嬉しくて嬉しくて」
「私もあなたと再会した時に、何か特別なものを感じたわ。今まで男性を好きになったことはなかったの。怖くて。だけどあなたなら信じられそうな気がしたの。一緒にアパートを探したり、家具を揃えたりするのがとても楽しかったわ。でもそれ以上は勇気がなかった」
「僕は指導教官としてそれ以上の関係を持っては駄目だと思った」
「昨日、いいえ、今朝までは」
「そう、今朝までは」
僕達は再び軽く唇を合わせました。
飲み物が運ばれてきて、僕達はグラスを掲げて乾杯しました。二人の未来に!
ローラは饒舌でした。今まで仕事の話以外はほとんどしなかったのに。今日はプライベートなことを沢山。食事をしながら 趣味のことや好きな本のこと等、僕を見つめながら嬉しそうに話すローラを僕はただうっとりと眺めていました。
「あっ、そろそろ行かないと」
時計を見ると2時を回っています。1時間半もおしゃべりしていたのです。
「そうだね。あとはラボで」
そう言いながら僕がチェックを見ようとすると、「ここは私に払わせて」とローラがサッと取り上げます。
「いいよ、僕が」
「お願い。今日は私にとって記念すべき日だから」
「それは僕にとっても同じだよ」
「でもマイクは前にも彼女がいたでしょ?私は生まれて初めてなのよ。だから私に奢らせて」
「あ、そうか。じゃあ、ご馳走様、ローラ」
財布からクレジットカードを取り出すとローラは嬉しそうにウエイトレスを呼びます。そしてサインを済ませると僕達は腕を組んでレストランを出ました。
* * * * * *
ラボに戻ると教授のジムからの留守電が残っていて、会議は成功だったようです。徹夜で苦労してデータを出した甲斐がありました。早速ローラを呼んでジムのメッセージを聞かせると、僕に抱きついてキスまでしそうになるのであわてて制止します。
周りの連中はもちろん未だ僕達のことには気付いてないみたいですが、ローラの雰囲気が変わったことには特に女子学生が敏感に反応しているみたいで、「今日は一段と綺麗だけど、彼氏でもできたの?」なんて冷やかされているローラを遠くから眺める僕は 幸せの絶頂なのです。
金曜日の午後はあっと言う間に過ぎて、皆週末の話でもちきりです。もちろん僕の頭の中はローラのことで一杯です。
「マイク、今夜だけど、私何か作ろうと思うの。家に来てくれない?」
「もちろんだよ。何か手伝おうか?」
「そんなに大したことはしないから、ワインでも買って来てくれる?」
「いいよ。赤、白?」
「白がいいわ」
「何時に行けばいい?」
「今から買い物に行くから7時頃でいい?」
「OK。じゃあ7時に」
「じゃあ、後でね」
ニッコリ笑って去って行くローラに軽く手を振り、僕は純白のタイトジーンズに包まれたお尻が揺れながら次第に小さくなっていくのをぼんやりと眺めていました。僕は何て幸せなんだろう。
今まで出会った誰よりも美しく、しかも僕にピッタリな控えめな性格なのに、対照的にゴージャスなその肢体で僕を欲情させ虜にしてしまう。そしてそんなローラにはペニスが 付いていて僕の唇で愛されると快楽の絶頂に泣きながら僕の口の中に甘い精液を迸らせるのです。
僕が昔から憧れていたギリシャ神話の両性具有の美神、ヘルマフロディトスがまさに現代に現れたようです。
あっ、そうだ。大事なものを買っていこう。今朝は小指を入れたところで終わってしまいましたが、ローラのアヌスを愛してあげる為に、一番小さなアナルビーズを。
僕は机の上をさっと片付けるとラボを後にしました。