まるで先程まで見せた狂態を忘れようとするかのごとく、ローラは激しく舌を絡ませ、僕の舌を吸い、そして唾液を飲み込みます。僕はそんなローラがとても愛しくて、しっかりと肩を抱きしめながらローラにされるがままに舌を差し出すのです。
やっと気持ちが落ち着いたのか、ローラが唇を離しました。そして僕がじっと見つめると、恥ずかしそうに目を逸らし、小さな声で呟きます。
「マイク、私を抱いててね」
「もちろんだよ、ローラ」
僕はもう一度しっかりとローラを抱きしめます。するとローラは「ああ、愛してるわ、マイク」と呟き、ゆっくりと目を閉じました。そしてまるで美神ヘルマフロディトスのような穏やかな表情を見せると、スースーと心地良い寝息を立て始めたのです。
「ローラ?」
呼びかけても返事がありません。
昨日は実験で徹夜、そして今日は先程からのアナルビーズ・プレイで心も身体も疲れ果てていることでしょう。
『ローラ、愛してるよ』
僕はローラを起こさないようにゆっくりと腕を解いてベッドから出ました。そして先程から気になっていた黄金のビーズを持ってバスルームへと向かいます。
やはり少し茶色の固形物が付着しています。僕はシンクにビーズを置くと勢いよくお湯を出して固形物を洗い流してから石鹸でよく洗い、綺麗にすすいでからペーパータオルで水気を取ります。匂いを嗅いでも大丈夫です。ビーズをペーパータオルに包んだまま洗面台に置いて僕はリビングに戻り、食器をキッチンに運びます。まだ残っているサラダボウルはラップをして冷蔵庫に入れます。食器を皿洗い機に入れてスイッチを押すと、 それは静かな音を立てながら動きだしました。
ローラはぐっすり眠っているようなので、僕はシャワーを浴びることにします。そしてバスルームの鏡に写った自分の姿を見て僕はドキッとしたのです。ローラに借りた黒いレースのTバックを食い込ませた僕のお尻がとてもセクシーに見えたのです。
シャワーを浴びてバスタオルで身体を拭いてしまってから、僕は下着が無いことに気付きました。今朝まで着てたのはローラが洗濯してくれると言ってましたが、どこにあるか分からないし、勝手にローラの引き出しを探すわけにもいきません。仕方なく僕は裸のままで 熟睡しているローラの隣に潜り込みました。そしてローラの身体から立ち昇る官能的な香りを胸一杯に吸い込みながら今日の明け方からの色んなことを思い出しているうちに僕も眠ってしまいました。
* * * * * *
コーヒーの香りで僕が目を覚ますと、隣に寝ていたローラの姿はありませんが、ベッドサイドテーブルにメモが置いてあります。
「おはよう、マイク!ちょっとジョギングしてきます。コーヒーが出来上がる頃には戻ります。あなたの下着等はバスルームに置いてあるわ。ローラ」
ジョギングか。そう言えばなるべく毎朝してるって言ってたな。
バスルームへ行くと僕の下着やTシャツがきちんと畳んでおいてあります。
ありがとう、ローラ。
シャワーを浴びてから 久しぶりに自分のTバックを穿くと、やはりしっくりきます。服を着てバスルームを出ようとして、ペーパータオルに包んでおいた黄金のビーズが無いことに気付きました。
きっとローラがどこかの引き出しに入れたのでしょう。
キッチンでコーヒーカップを探していると、玄関が開く音がします。ローラが戻ってきたのです。
「ローラ!」と声を掛けながら玄関へ向かいます。
「マイク!お早う!いつ起きたの?」
ローラの声がします。
「ああ、今起きたところ・・・」
そこまで言ったところでローラの肢体が目に飛び込んで来て僕は思わず息を呑んで見とれてしまいました。光沢のあるネイビーブルーのレギンズに包まれた下半身は裸以上にその見事なシルエットを浮き上がらせています。 上半身を覆うのは胸にネイビーブルーのUCLAのロゴが入った純白のフーディです。ゆったりしていて体の線こそ露わではありませんが、時折揺れる胸の膨らみが余計に豊かな乳房を想像させるのです。そして僕を見つめながら被っていたフードをさっと除けると、ブロンドの髪が扇のように拡がり、その真ん中に頬を少し紅潮させた美貌が現れたのです。
「ローラ!」
僕は駆け寄ると思いっきりローラを抱きしめます。
熱いからだが僕の腕の中でもがきます。
「ああ、マイク、汗だくなのに」
「構わないよ」
僕はローラの汗ばんだ頬に、そして首筋に唇を付け、濃密に立ち昇るローラの香りを思いっきり吸い込みます。
「駄目よ、マイク」
ローラは笑いながら僕の腕の中でもがきますが、僕は一層我慢が出来なくなって、左腕でローラを抱きしめながらフーディを脱がしにかかるのです。
「ああん、駄目、駄目、マイク」
嫌がる素振りを見せながらもローラは激しく抵抗することはなく、あっと言う間にフーディを脱がされてしまい、上半身を覆うのは純白のスポーツブラだけです。
そして僕はローラの胸の深い谷間に顔を埋め、もう一度思いっきりローラの香りを吸い込みました。
「はい、そこまでよ、マイク。コーヒーが冷めちゃうわ」
ローラは僕の顔を優しく抱くように胸から離すと、タオルで汗を拭きながらキッチンの方へ行ってしまうので、僕も仕方なく後を追います。
「後片付けしてくれたのね、マイク。ありがとう。私は寝ちゃったのね」
「徹夜明けだもの、仕方ないよ」
「昨日のサラダ食べる?何か作ろうか?オムレツとかスクランブルエッグとか?後はパンしかないけど」
「いや、サラダとパンで十分。昨日沢山食べたから」
ダイニングテーブルにコーヒーと、昨日の残りのサラダとパンというメニューが並び、僕たちは昨夜と同じように角を挟んで座ります。質素な朝食はまるでローラを引き立てているようで、僕はローラを見つめているだけで胸が一杯になってくるのです。
「食べないの?」
「ああ、食べるよ」
僕はローラを見つめながらコーヒーを啜ります。何て僕は幸せなんだろう。
ローラもじっと僕を見詰めていましたが、突然「ムフッ」と吹き出します。
「なに?」
「髭が伸びたわね」
「ああ、もう二日も剃ってないからね」
「あとで剃ってあげようか?」
「本当に?」
「ええ」
「じゃあお願いしようかな」
他人に髭を剃ってもらうなんて、日本で散髪屋に行ってたころ以来です。しかもローラが剃ってくれるなんて。
早くローラに髭を剃って欲しくて僕は夢中でサラダやパンを口に運びます。
「そんなに慌てて食べなくてもいいのに?」
「だって早く剃って欲しいから」
「私はゆっくりと食べるわよ」
微笑みながら食事を続けるローラを僕は再びじっと見つめるのでした。
やっと朝食を終えて食器を片付けると、「さあ、こっちへ来て」とローラは僕をバスルームへと連れて行きます。
「顔を濡らしてからそこに座って」
僕はTシャツを脱ぐと水で髭を濡らして、スツールに座り、ローラの方を向きます。
「ボディーシェーブ用だけど同じよね」
ローラはそう言いながらピンク色のエアロゾル缶からジェルを手のひらに取ると僕の顔全体に拡げます。ローラの指で顔をマッサージされるようでとても良い気持ちです。
そして次にこれもピンク色のレディーズ・レーザーを右手に持って真剣な面持ちで僕を見つめ、「じゃあ剃るわよ」と言うと、左の頬から剃り始めました。
しかしすぐに、「ちょっとやりにくいわね。そうだソファーに寝てくれない?」とレーザーを持ったままバスルームを出て行くので僕も慌てて立ち上がって追いかけます。
ソファーの端に腰を下ろしたローラが僕を見ながら言います。
「私の膝を枕にしてここに寝て」
「いいの?」
「さあ、早く」
僕はローラの右側に少し離れて座ると、身体を捻ってローラの方に頭を向けて仰向けになり、ゆっくりとローラの太腿の上に頭を載せます。薄いレギンズ越しにローラの体温を感じます。そして僕の顔のすぐ右にはローラの引き締まった腹部が息づいています。
「この方がやりやすいわ」
ローラが覆いかぶさるように僕を見つめます。そして先程少し剃りかけた左の頬から剃り始めようとさらに前屈みになると、純白のスポーツブラに包まれた乳房が僕の右の頬に触れそうになるのです。
僕は真っ直ぐ下に降ろしていた右手を曲げるとローラのウエストを愛撫しますが、「悪戯しないの。怪我をするわよ」と叱られて直ぐに右手を元に戻します。
ローラの左手の指が踊るように僕の顔の上を滑り、右手に持ったレーザーがその後を追います。そして間近に顔を近づけたローラの吐息が時折僕の顔にかかり、その度に僕はペニスを固くしてしまうのです。
「ハイ、終わり。久しぶりだったから緊張したわ」
ローラの声で僕は夢から覚めたようにローラを見上げます。夢見心地の髭剃りは終わりました。
「どうしたの?」
「いや。あ、ありがとう。とても気持ちよかったよ」
「そう、それは良かった。痛くなかった?どこも血は出てないけど」
「うん、大丈夫。顔を洗ってくるよ」
「私もシャワーを浴びるわ。その後で出掛けない?」
「ああ、いいよ。でも少しだけ家に戻ってくるよ。二日も帰ってないから郵便物も溜まってるだろうし、請求書も来てるだろうから」
「そうね、じゃあお昼前に来てくれる?どこかでランチしましょう」
* * * * * *
家に向かって車を走らせながらも僕は胸が高まるのを押さえることは出来ませんでした。一昨日の夜からの出来事が走馬灯のようによみがえり、僕は果たしてこんなに幸せで良いのだろうかと怖くなるほどです。そして今日はローラとデートです。
郵便受けを覗くとやはり山のように郵便物が溜まっています。もちろん殆どはジャンクメールなのですが、大事な請求書も混じってるので注意深く選り分けなければなりません。
小切手にサインして封筒に入れ、切手を貼って郵便受けに戻します。アメリカでは郵便受けに入れておくと配達に来た郵便屋さんが持っていってくれるのです。
少しだけ部屋を片付けているとあっと言う間にお昼前です。流しに置きっ放しだった皿やナイフ、フォークを食器洗い機に放り込みスイッチを入れて僕はアパートを飛び出します。
ローラのアパートが見えてきたところで、『ああ、折角のデートなのに着替えてくればよかった』と思っても、もう後の祭りです。一昨日と同じ格好なのです。
車を止めて階段を駆け上がりチャイムを鳴らすと、「マイク?すぐ開けるわね」とローラの声が中からして、足音が近づいてきます。
「ローラ、僕だよ」
カチャリとロックの外れる音がしてドアが開きます。
「今、着替えてるところなの。入って待っててくれる?」
ローラの声だけがして足音が再び遠ざかります。開いたドアから中を覗くと真っ白なバスローブを纏ったローラが寝室に消えるところです。
「ゆっくりしていいよ」
「もうすぐよ」
寝室のドアは開いたままで、思わず中を覗き込みたくなりますが、そこはぐっと我慢して本棚に並んだ本の背表紙を眺めてみますが、文字は一切頭には入って来ず、ローラが一体どんな素敵な姿で現れるかだけが気になります。
「お待たせ!さあ、行きましょう」
ローラの声で僕が振り向くと、黒のレギンズに紫色のミニドレスを着たローラがニッコリ笑ってポーズを取りながらクルリと回ります。
「どお?似合う?」
僕は思わず見とれてしまい、声が出せません。ミニドレスは 二重になっていて内側は胸が大きく開いたタイトフィットのニットのシャツで丈は股上10センチ程しかないので、レギンズで覆われた太腿はおろかY字の局部までが露わです。これだけだと少し下品になりかねないのですが、その外側には一体になった七分袖の長めのボレロが付いていて、お尻はぎりぎり隠してくれます。それでも前はウエストの高い位置で留めるだけなので、胸は大きく開いたままですし、 レギンズの付根も全く覆っていません。
「す、凄く似合うよ!」
「ありがとう。じゃあ、行きましょう」
ローラは黒のポシェットを肩に掛け、同じく黒のパンプスを履くと、玄関を開けて先に外に出るので、僕も慌てて部屋をぐるりと見渡してから外に出ました。ローラはカチャリとロックを掛けると腕を僕の腕に絡ませてきます。
「どこへ行く?」
階段を降りながら尋ねます。
「久しぶりにサンタモニカのプロムナードへ行きたいんだけど」
「いいね。僕もあそこは好きだよ」
* * * * * *
正式にはThird Street プロムナードと言い、サンタモニカの海岸から数ブロック入ったところのThird Street が全長5−600メートルに渡って歩行者天国になっていて両側にはブティックやバー、レストラン、映画館、劇場、画廊などが並び、ストリート・ミュージシャンがあちこちで見事な演奏を聞かせてくれます。
僕も好きだよと言ったものの、一人で来て楽しむところではないので、一二度ぶらっと寄っただけで、本格的に来るのは今日が始めてです。しかも今日はローラと一緒なのです。
軽くランチを食べた後、腕を組んでローラと歩いているだけで僕はもう幸せの絶頂です。ローラの行きたいブティックを次から次へと回り、ローラが服を選ぶのを横で眺めては幸せなため息をつくのです。気に入ったのがあるとローラは試着室に入り、サッと閉じられたカーテンに男性客の視線が集まります。
そして再びカーテンが開くと、春物のミニドレスに身を包んだローラが現れ、僕は皆の視線を感じながらローラに近づいてとても似合うよと囁くのです。
あるブティックでは未だクリスマス前というのに水着が沢山並んでいます。
「一つプレゼントするよ。その代わり僕が選んでいい?」
「いいわよ」
「ビキニは持ってるよね」
「ええ、もちろん」
「Tバックは?」
「まさか」
「じゃあ買ってあげる」
「Tバックの水着を着せようと言うのね」
「うん」
「いいわ、マイクが一緒にいてくれるのなら」
ローラのTバック姿を想像しながら、どんな色がいいか、どんな柄が似合うだろうかとあれこれ物色しますが、やはりローラの白い肌には黒が合いそうです。しかも皮のような光沢のある生地のTバックビキニが見つかりました。
「これはどう?」
「ちょっと大胆過ぎない?」
確かに後ろは細い紐だけですし、ブラも小さな三角形ですからローラの乳房は半分以上露出してしまうでしょう。
「試着してみてよ」
ローラはしばらく僕を見つめると、「いいわ」と言って水着を手に試着室へ向かいます。店員に何事が告げるとローラは試着室に入り、カーテンが閉じられます。
僕はすぐ傍のソファーに腰を下ろして待つことにします。水着を試着するのですから、着ている服は下着も含めTバック以外は全て脱がなければなりません。カーテンの下からローラの 足が見え、レギンズを脱いでいるのが分かります。そして長身のローラがドレスを頭から脱ぐところがカーテンの上から少しだけ見えるのです。
次はブラを外すはず。僕はカーテンを注視しますが、残念ながらその気配は分かりません。カーテンの下から覗く素足はじっと立ったままです。
しかしその素足が一歩壁の方へ動き、そして元に戻りました。きっと外したブラをフックに掛けて、水着のブラを着けているのです。そしてまた素足が一歩壁の方へ動き、元に戻ったかと思うと、次の瞬間カーテンの下にローラの両手が見え、黒のTバックに足を通すところが目の当たりに見えたのです。
心臓がドキドキし、ペニスが一気に固くなります。
しばらく呆然とローラの素足を見つめていると、カーテンが少し開いてローラが顔を出します。
「マイク?ちょっと見てくれる?」
僕は跳ねるように立ち上がって試着室に歩み寄るとカーテンの中を覗き込みます。
「どお?」
ローラが試着室の中でポーズを取ります。
やはりブラは小さめですがローラの豊満な乳房を強調しているだけで下品ではありません。そしてボトムは辛うじて局部を覆っています。
「小さい下着を付けてたから良かったわ」
このTバックからはみ出さない下着ってどんなに小さいんだろう。僕はそちらも気になります。
「後ろを見せて」
ローラがクルリと回ると流石に後ろは黒い紐だけなので、下着の白い紐と隣同士に仲良く並んでローラの腰に巻きついています。
「良く似合うよ。これにしよう」
「ありがとう、マイク」
カーテンがサッと閉じられ、僕はソファーに戻ります。そして再びカーテンの下から覗くローラの素足からTバックが抜き取られ、そしてレギンズを穿くところをじっと眺めるのです。
「お待たせ!」
少し頬を紅潮させたローラが水着を持って試着室から出てきます。そして僕はローラの腰を抱くようにレジの方へ進みました。
プロムナードを何度も往復し、何軒もブティックを回りましたが、結局僕達が買ったのはこの水着だけです。でも僕はローラの試着を何度何度も見ることができたので、飽きることはありませんでした。
「お腹空いたわね」
「足もクタクタだよ」
「夕食も食べて行く?」
「いいよ」
直ぐ先のイタリアンレストランに僕たちは入り、並んで腰を下ろしました。狭い店内はほとんど満席で、客の話し声や食器の音で賑やかです。
「今日は付き合ってくれてありがとう」
「僕も楽しんだから」
「あら、そう?退屈したでしょ?」
「いいや、ローラの着替えるところを何度も見られたからね」
僕は顔をローラに近づけて囁きます。
「まあ、マイクったら。私の身体なんか昨日から何度も見てるじゃない」
ローラも僕の方に身体を倒すと唇を触れんばかりに近づけて囁きます。
「家ではね。でもああいうところで見るとまた格別なんだよ」
「まあ、エッチね」
ウエイターがやってきたので僕たちは離れ、赤のグラスワインを二つ注文しました。
「今晩だけど」
「今晩?」
「またお邪魔してもいい?」
「今夜は何をしてくれるの?」
「ローラは何をして欲しいの?」
「さあ、私は何をして欲しいかな?」
ローラは唇を軽く開いて僕をじっと見つめます。次第にローラの青い瞳が潤んできたような気がします。
「グラスワインです」
ウエイターが僕たちの前にワイングラスを置きます。
「ご注文はお決まりですか?」
「あ、えーと」
ローラは慌ててメニューを開くと、「シーフードサラダをお願い」と言います。僕も慌ててメニューを探し、ボンゴレ・パスタを注文します。
「ソースは赤ですか、白ですか?」
「赤をお願いします」
ウエイターが去り、僕たちは再び見つめあいます。
「ローラは何をして欲しい?」
「マイクは何がしたいの?」
「ローラから言って」
「マイクからよ。あなたが家へ来たいのでしょ?」
「そうだね、その通り。じゃあ、その前に質問させて?」
「いいわ」
僕は二度三度深呼吸をして気持ちを落ち着かせてから、ずっと聞きたかったことを尋ねました。
「どうだった、2センチのビーズは?」
ローラの顔がみるみる紅潮し、顔を僕に近づけると囁きます。
「そんな大きな声で言わないで。周りの人に聞こえるじゃない」
「聞こえたって分からないよ」
僕も小声で言ってから、また普通の声に戻って、「2センチのビーズはどうだった?」と尋ねます。
ローラも観念したのか、再び顔を近づけると「死ぬかと思ったわ」と囁きます。その時の事を思い出しているのか、顔が少し上気しています。
「いい気持ちだった?」
さすがに僕も顔を寄せるとローラの肩を抱きながら小声で尋ねます。
「そうね、何て言うのかしら、背徳の快感かしら。正気ではとても出来ないことをしたような気がするわ」
ローラが僕の太腿に手を置きます。
「でも感じたんだ」
「バカ、そんな事、聞かないで。知ってるくせに」
「ローラの口から言って欲しい」
再びウエイターが大きなトレイを持って現れますが、今度は僕たちは離れずにウエイターを見つめます。
「シーフード・サラダに、ボンゴレのパスタ。エンジョイ!」
ウエイターは気を利かして直ぐに去ります。
「何だったかしら?」
「2センチのビーズで感じたかどうか」
ワインの所為で少し頬を染めたローラを見つめていると、この場で抱きしめたくなります。
「感じたかどうか言って欲しい」
殆ど声にならないような小さな声で僕は囁きます。
ローラはしばらく青い瞳で僕を見つめてから、顔を一層近づけると、「ええ、感じたわ」と囁き、そして僕の頬に唇を軽く触れさせました。
「ありがとう。僕は嬉しいよ」
「私もよ。あんなに感じたのは初めてだったから。さあ食べましょう」
「そうだね」
僕たちは身体を少し離すと、フォークを手に取り食べ始めました。
「サラダ美味しいわよ。マイクも少し食べて」
「ありがとう。パスタもなかなかいけるよ」
僕はサラダを少し戴いてからパスタの皿をローラの方へ少し寄せます。
半日歩き回った所為でしょう、二人とも旺盛な食欲であっと言う間にサラダもパスタも平らげてしまいました。
「デザートは如何?」と先程のウエイターがタイミング良く現れますが、二人共もうお腹一杯です。
「チェックを」と言うとウエイターは下がります。
「さあ、さっきの質問よ。マイクは今夜家に来て何がしたいの?」
「知ってるくせに、ローラは」
「知らないわ、見当も付かないわ」
ますます上気した顔で、熱い息を吐きながら喘ぐようにローラに囁かれると、僕も後には引けません。
「昨日の続き」
「昨日の続きって?」
「クリスタルのビーズと金色のビーズは試したから、次は銀色のビーズ」
「一番大きいのね」
「そう。2.5センチもある」
「じゃあ、準備も念入りにしないと」
「そう。もっとちゃんとエネマを」
「ぁあ。そしてビーズを入れられたら、次はまた引きずり出されるのね」
「そう」
「その次は?」
「その次は・・・」
僕はグラスの水を一口飲みます。
「その次は僕のもので」
「マイクの?」
「そう、僕のペニスで」
「ぁあ、マイクのペニスを私のアヌスに入れるのね」
「そう」
「想像しただけで気が遠くなるわ」
「でもしてみたいだろ?」
ローラはしばらく僕の目をじっと見つめます。
「ええ、してみたいわ」
「じゃあ、行こう」
いつの間にかテーブルに置かれたチェックの上にキャッシュを置くと、僕はローラを抱きながら立ち上がります。そして今にも崩れそうなローラの腰に腕を回して支えながら僕達はレストランを出て駐車場に向かったのです。